第35章 美容院
主任が芸能活動していた時は
SNSというより
ブログ期だったから
目新しい写真画像がたくさん。
俳優だから
もちろん雑誌や広告の搭載はあるだろう。
スタイル抜群だから
俳優だけでなく
モデルをやっていても可笑しくはなかったが…
「えっ!?主任って
初めはモデルさんだったんですか!?
てっきり俳優業から
スタートされていたんだと…」
「それはよく言われる。
Q-BOYSの専属モデルで
スカウトされたんだが
あそこは新人の育成もしていて、
プロダクション契約も必須だったんだ。
俺を見込んでくれて
運よく映像の仕事が舞い込んできた」
「当時のことは
詳しく知らないんですけど
高校生なのに大人びてますよね。
今やっと年齢に追いついたというか」
「同級生と一緒にいても
年上に見られること多かったよね」
「私服のときは特にな。
中1のとき171cmで
あと17cm伸びるつもりだったが
高校で見事に撃沈。
親父も越せなかった」
「高校の頃振り返ると
いっつもその話題になるよね~」
「俺にとっては死活問題だったんだ」
主任は背筋やスタイル、バランスが
良いから高身長だと錯覚してしまうのか。
だとしても、
本人にとって相当コンプレックスらしい。
「家族皆さん高身長なんですか?」
「兄貴は187、親父は184あるって言ってた。
ユウなんて当時170もなかった癖に
久々に会って
視線上にあった時かなりショックだった」
「専門通ってた時も
毎年1cmずつ伸びてたからね…。
このまま190行くんじゃないかって
ちょっとコワかった」
「もしかして……
身長のせいで引退されたんですか?」
「それはないよ。
後付けだと言われるかもしれないが
大卒で一般企業に就くつもりだった。
予想だにしないこともあったけど
それなりに人生謳歌できてるしな」
人生謳歌している。
その言葉を聞いて何だか安心する。
女性問題は背景にあって
そのうちの一人を妊娠させてしまい、
おろすことをせず
人気絶頂時に婚約発表をして引退。
本人の言葉が正しく真実であり
それ以上の説明は不要な気がした。