第35章 美容院
高次元男性の横を歩き、
初めて入る美容院に緊張しつつ
主任の親友について聞いてみることに。
「ユウは…見た目のまんま優しい奴だ。
高校のときに会ったのが初めて。
いまは金髪に染めてヒゲを生やしてる」
優しそうな顔をしたヒゲ金髪。
どうしよう…。
美容師に対する偏見で
チャラいイメージが頭から離れない。
ブーツを履いてピアスや指輪、
チェーンなんかを付けていたりして、
毛先をくねらせていたり、
色々とオシャレで
遊び人っぽい外見からの逃れられない。
「看板みえてきた」
「あっ!格好良いですね」
「だろ?
オシャレっていうより格好良い外観だよな。
この建築デザインした人、
開業医の伯父さんちも
デザインしてた人なんだよ」
「へえ~。ご縁を感じますね。
都内なんですか?」
「俺の大学の近く。
今は安定したって話だけど
伯父さんが歯科医師、
その嫁さんがエステティシャン。
自宅と繋がった併用住宅で
苗字が同じだから一時期バズって
予約殺到した時はホント大変そうだった」
「やっぱり親戚でも
追いかけてくるんですか?」
「かかりつけだったから
どこかでリークされたんだろう。
肌も大事だけど歯も大事だろ。
ちゃんと自分を大切にしてるか?」
「うっ…。それは……」
筋肉がなくて外見すべてを
怠っている訳ではないが
こうして言われると
返す言葉をなくしてしまう。
そんな分かりきった答えに
主任はお勧めの美容院を紹介してくれただろう。