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《イケメン戦国》時を越えて

第14章 時を越えて〜分岐〜幸村ver.前編


〜幸村目線〜
春日山に留まった舞は女中のように城の中を動き回っているが、
(じっとしてられる性質じゃねえしな)
と見守ることにした。
広間で義元と佐助と話し合いをする間、茶を飲みながら休憩をしていた時に義元が発した『不安もあるだろうに…』と言う言葉に、俺はハッとした。

舞は明るく笑顔で過ごしていると安心していた。でも、その裏に不安や寂しさを隠してたのか?人の機微を読むのが苦手で、それに気付けなかった自分に腹が立つ。慌てて立ち上がり広間を出る俺を二人が呼んでたけど、答えず駆け出した。

さんざん探し回り、やっと見付けた舞は縁側に座って空を見上げていた。
(やっぱり不安があるのか?)
そう思いながら舞に声を掛けようとした時
「早く帰りたいなぁ…」
舞が呟いた。

愕然とした。
(やっぱり不安だったのか。帰りてえって思ってるのか…)
自分が側にいたって、舞は救われないんだと思い知らされた気がした。
「ーーーっ!!」
ガタッ
近くにある部屋の襖に手を当ててしまい、音が鳴る。
それに気付いて振り向いた舞が
「幸村?」
自分の姿を認め、キョトンとしてこちらを見ている。
「おー」
なんとかそう一言返し、舞の隣に座った。
俺の返事に笑う舞のその笑顔が曇っているように見えた。

「…帰りたいのか?」
そう聞いた俺に舞は『光秀のために羽織を作りたい。ここには道具がないから。』と答えた。それを聞いてホッとした俺が『道具を用意する』と言えば、『迷惑だから』と遠慮する。
(なんだよ、それ。)
そう思いイラついた俺は
「…迷惑じゃねえ!お前はどうしていつもそうやって我慢すんだ!」
強い口調で舞を責めていた。

「あの時、俺はお前に『頼れ』っつったよな?」
「…うん。」
「なんでなんも言わねえんだ。」
「それは…」
「なんで俺にまで気遣うんだよ!俺はそんなに頼りねえのかよ!」
「ちがっ…」
「じゃあなんだよ!俺なんかじゃ側にいたって意味ねーってことかよ!」
「違う!そうじゃない。そうじゃないよ…。」
「……」
「幸村は…幸村は優しいから。優し過ぎるから、私のこと放っとけなくて色々気遣ってくれて…。『私が必要とするなら側にいる』って言ってくれて嬉しかった。でも、いつまでも私が甘えてたら幸村が困るから…いつか幸村に好きな人ができた時…邪魔になる。」
「はっ?」
思わず間抜けな声を上げていた。
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