第2章 帰郷
「イダッ!!な、なな何で殴るんだよッッ!!」
ベッドの上で転がりながら紋逸が叫ぶ。
俺はとりあえずコイツをベッドの上に乗せてから、すぐにその頭をグーパンチしといたのだ。
「テメェが何か悪いことしたっつーから、何となくだ!!っつか、何がどうなってんだ?何でアイツ、出て行ったんだ?」
「ワケも分からず俺を殴ったの!?ヒドくない!!?」
「うるせーな、わかんねーから聞いてんだろーが!アイツは何であんなにイライラしてたんだよ?」
「そ、それは俺の口からは言えないよ。けど、マズイとこを見られた気がする」
ガツン!
青ざめた顔でいっこうに目を合わせようとしない金髪頭にもう一度鉄拳を食らわす。
「テメッ!いい加減にしねぇと殴るぞ!!」
「もう殴ってますし!!っつか俺怪我人!!これ以上殴られたら俺、死んじゃうよ!?」
「このッ、まーだ言わないつもりかよ!」
俺はもう一度拳を振り上げた。
いつもだったらこんなにイラつくことはねェ。
なのに、アイツのあの茫然とした顔を思い出すと胸の奥が騒ついた。
「ヒィッ!もうやめて!で、でもっ、やっぱり俺が言うのは違う気がするんだよー!ってか、アオイさん、早く追いかけなくていいの!?」
涙目になりながら紋逸が叫ぶ。
「あ。」
その言葉にハッとした。
「そうだ。こんなバカに付き合ってる場合じゃねぇ」
「き、、、聞こえてるよ?わざと?わざとなの?」
ガツン!!
気が付いてもう一度金髪頭を殴る。
「ギャンッ!!だから何で殴るの!?」
「テメェがベッドに載せてくれなんて言うから、忘れちまってたじゃねェか!!このバカ!!」
「えー、それ俺のせい、、、??」
紋逸の言葉を聞き終える前だったが俺は部屋を飛び出して、アイツの背中を追いかけた。