第49章 闘いの終わり
ゆ「あのとき、様子なんて見に行かなきゃよかった。家財道具なんてみんなくれてやっていい。みんなで裏口から逃げ出せばよかった。そうすれば、せめて助けを呼べたかもしれない。………紅葉ちゃんが私を庇ってあいつに斬られて、た、喰べようとして……」
あの夜の恐怖を思い出しているのか両手で顔を覆い、小さく震えている。
唯一、あの夜のことを初めから終わりまでの全てを見ていた百合。
ゆ「喰べるってなに…私の、私の大事な妹を喰べる…??嫌よ…でも、守ってあげられなかった…椿ちゃんも殺されて、杏ちゃんを連れ去ろうとして……私の、妹を……。」
大事に大事にしてきた、何よりも大切な妹たちの命が、目の前で両の手からこぼれ落ちてしまったその恐怖。
『…………。』
杏は何も言えなかった。
杏もあの夜はものすごく怖かった。
恐ろしかった。
でも、今、生きている。
剣士になって力を手に入れた。
怖かったその恐怖の対象も、その元凶も葬った。
だから、もう怖くない。
でも………
杏(あの夜……時が止まった姉さんたちはきっとまだ怖いままだ。怖くて、痛くて、苦しいまま………時が止まってしまったんだもの。)