第45章 繋がる記憶
無(青い彼岸花の娘…漸く捕まえた。この娘を吸収すれば私は無敵の存在になれる。最早竈門禰󠄀豆子などどうでもいい。)
無惨は勝利条件の1つであった杏を捕らえたことに高揚し、カナヲの存在など気にしてもいなかった。
カ「だ…だめ……。」
そんな無惨の耳に小さな声が届き、そちらを振り向く。
座り込み、カタカタと震えながらも握った刀を離さない少女。
無(この娘…青い彼岸花の娘が庇った娘か。…殺しておくか。)
立ち上がることさえできていない少女にすら慈悲なく、冷酷な無惨。
カ(だめ…桜柱さまが喰われてしまう…。なんとか…私が…なんとかしないと…。倒さないと…姉さんと一緒に、アオイたちのところに帰らないと…。私が…)
カナヲは必死に自分に言い聞かせるも、身体は動いてくれない。
そんなカナヲを見兼ねた後藤が捨て身で叫びながら走ってきた。
後「やめろーーーー!!」
そんな後藤を横目に見ながらも、カナヲへトドメを刺そうと触手を振り上げる無惨。
けれどその瞬間──…
ー ヒノカミ神楽 輝輝恩光 ー
カナヲに振りかざした無惨の左腕がぶっつりと斬れていた。