第44章 反撃の狼煙
ならば、悲鳴嶼のように武器を2つも持たない者たちは誰かと打ち合うしかないが、既に他の柱たちは済ませてしまっている。
そしてある程度腕力がないと赫くはならない。
誰かいないかと辺りを見渡すと札を額につけようとしている祈里と音羽を見つけた。
杏(できるかわからないけど何もしないよりは…)
そう考えて2人の名前を叫ぶ。
『祈里さん!!音羽さん!!』
その声に反応して手を止める2人。
そんな2人に杏は思いきり斬りかかる。
2人は一瞬驚くも、杏の意図を理解したのか2人で刀を合わせて杏の刀を受け止めた。
── ガキュイイン
バチバチと火花を散らしてはいるが、色が変わらない。
杏(…やっぱり無理か。)
そう思ったとき、じわじわと色が変わり始めた。
不安そうな顔をしていた2人もほっ、と息を吐く。
『…ありがとうございます。2人とも。これも、あの鬼のことも…。』
赫く染まった日輪刀を掲げて小さく笑う杏。
祈「…いえ。杏さまの命であればなんでも。」
音「お役に立てて何よりです。」
そんな杏に祈里と音羽も笑みを返す。
『さぁ、行きましょうか。』
祈.音「「はい!!」」
祈里と音羽は額に札をを貼り付けてその場から気配ごと消える。
それを見届けて杏も赫刀を手に、柱たちが囲む無惨の方へと走り出した。