第2章 静粛ライブラリー! ジャミル裏
「今回は新作が多いなぁ...ちょっと納品しすぎたな」
ナイトレイブンカレッジの図書室の本はメグの独断で集められている。もちろん生徒の勉強の資料になるものがほとんどだが、たまに個人の趣味も少々混ざっている。その個人的趣味の本も楽しんでくれる生徒もいるのであえてやめないところはちゃっかりしているのであった。
「さて、この本は向こうの棚だったな。」
『メグ、また新しい本が入ったのか?』
脚立の下から声が聞こえた。
「あ、ジャミル。うん、この間発売の新作届いたんだぁ」
『そうか。こっちにある本はどこに置くんだ?』
「それは向こうのYー23の棚にお願いしていい?」
『わかった』
メグが手元の本をしまい終わって脚立を下りるとカートに積んでいた本が全てなくなっていた。
『終わったのか?ここにあった本は全てしまったが良かったか?』
「あの量を全部?」
『そこまで多くはなかった。カリムがやらかしたことの尻拭いより簡単だ』
「あー、まぁそうね。ありがとう、助かったよ」
『別に大したことじゃない』
「で?この手はなんだろうか?」
本棚とジャミルに挟まれる形でいわゆる壁ドン状態。抜け出そうにも絶妙に通れない幅になっているので逃げられないのだ。
『メグに会いたかったから来たんだ。わざわざ言わせるな』
「ジャミル、ここは図書室だよ。自分だって本を読みに来るからわかってるでしょ」
『あぁ。ここは膨大な量の資料や本がある。今俺たちがいるのはこの世界の地図や歴史の資料のエリア。ほとんどの生徒が利用しない棚に囲まれている。よって大声を出さなければ誰にも見つからない』
不敵に笑うジャミルを見てため息をつくメグ。そう、ジャミルはわかっていてメグがこのエリアに入ってきた時に声をかけたのだ。
「ジャミルのそういうところ、ん...」
続くはずの言葉はジャミルの口づけによって飲み込まれた。
静寂な図書室に響く水音。本来ならしない音が聞こえることに少し背徳感を覚えるメグ。
『何か、余計なことを考えてるな?』
「ふぁ...そんなことない、んむ...」
ジャミルに下唇を舐められくすぐったさに口を開けるとぬるりと舌が侵入して絡めとられる。