第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
振り回されるのは、得意じゃない。
なんとか自分のペースに戻そうと、眼鏡を掛け直したアズールは冷静さを取り繕う。
「え、ええ……、まあ、僕もヒカルさんが好きですよ……?」
好きだ、大好きだ。
でもその真意は、ヒカルに伝わらなかっただろう。
「……ありがと。」
社交辞令のような「好き」に、ヒカルは苦笑したまま、けれど一瞬だけ傷ついた顔をした。
なぜそんな顔をするのかがわからず、なおさら戸惑う。
気まずそうに視線を落としたヒカルは、言い訳をするように声量を落として呟き出した。
「本当はね、こんなことを言うつもりじゃなかったんだ。別に、アズールくんとどうこうなりたいわけじゃないし。」
「え……?」
「ただ、ほら、やっぱり気持ちの整理って必要でしょ? アズールくんとユウが上手くいったら、近くで見守る羽目になっちゃうもんね。」
「え…っと……。」
ますます、ますますわけがわからなくなってきた。
なるべく自分都合に解釈しないように努めても、どうしたってヒカルの発言は彼女がアズールを好きだと言っているように聞こえる。
事実、ヒカルはそう言っているのだが。
「だからね、ここははっきり伝えて、きっぱりフッてもらいたくて。じゃないとわたし、元の世界にも帰れなくなっちゃう。」
「……!」
ヒカルの言葉に、過剰に反応した。
しかし、反応した部分は「好き」や「ふる」ではなく、「元の世界に帰る」という発言。
感情のボルテージが一気に上昇し、テーブルをバン!と叩く。
「は? 帰しませんけど!?」
気づけば悟られないようにしていた決意を暴露しながら立ち上がっていた。