第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
ずっと、アズールに叶えてほしかった願いがある。
アズールだけにしか叶えられなくて、どうしようもなくて、だからヒカルは協力したくもない相談役を引き受けた。
好きな人が自分じゃない誰かと結ばれていく様子を眺めるのは堪らなく苦痛だったけれど、引き受ける価値はあった。
この願いは本来、アズールがユウと結ばれた際に口にするもの。
それまでは決して打ち明けずにいようと思ったが、もういいか、と思う自分もいる。
そろそろ、隠しきれなくなってきた。
どんなに知らん顔を貫いても、じくじく痛む胸は限界を迎え、醜い嫉妬が溢れ出してしまいそう。
それならば、叶えてほしい願いを告げて、アズールの方から一線を引いてもらいたい。
納豆と箸を置き、こちらを見つめてくる空色の瞳を見つめ返した。
「あのね。」
ものすごく頭が回るくせに、肝心なところに気づけないアズール。
ダメじゃないか、こんな下心だらけな女を信用しちゃ。
相談に乗るふりをしながら、彼と共に過ごす時間を得て、初めてのキスと経験を奪った。
本当に心から応援をする人なら、決してこんな結末に導かなかっただろう。
「わたしが叶えてほしい願いは……。」
冷静で、陰険で、厳しく優しく、時に可愛いアズールが好きだ。
それこそ、どうにもならないくらいに。
どうにもならないからこそ、アズールに叶えてもらいたい願いがある。
それはアズールにしか叶えられない、ヒカルの唯一の願い。
「わたしね、アズールくんにフッてもらいたいんだ。」
大好きだからこそ、もう、フラれてしまいたかった。
それが、ヒカルが彼に願うもの。