第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
実に奇妙な一日だ。
フロイドにアズールへの想いを暴露してしまったせいなのか、昼休みからずっと、フロイドがついてくる。
ついてくるといっても、先ほどのように抱きしめられるわけでもなく、常に背後をついてくるのだ。
「……ねえ、なにか用?」
「んーん、なんでもなーい。ただ今日はぁ、ヒカルちゃんと尾行ごっこがしたいだけ。」
「なにその迷惑な遊び。」
というか、今は授業中のはずでは?
いろいろとツッコミどころが多い遊びだが、彼は元から気分屋で、授業も気まぐれにサボる。
ヒカルは彼の保護者ではないので、放っておくことにした。
ついでに暇なら仕事を手伝ってくれと頼み、あれこれ雑用を押しつける。
尾行ごっこもとい、ヒカルのアシスタントと化したフロイドは大きなゴミ袋をサンタクロースのように背負い、ぽつりと呟く。
「オレをコキ使うなんてさぁ、アズールとジェイドを抜かせばヒカルちゃんくらいなんだけど。」
「へえ、そうなんだ。わたし、使えるものはなんでも使う主義なの。」
「ヒカルちゃんってさぁ、アズールと気が合うよね、ぜったい。」
気が合ったからといって、なんだというのだ。
先ほどの一件があったから、アズール関連の話には警戒心が強くなる。
「さっきも言ったけど、余計な気を回して手助けしようとか考えないでね? わたし、アズールくんとどうこうなりたいわけじゃないから。」
頼られる存在になって、彼の思い出に刻まれて、それだけで十分だ。
あとはもう、静かに成り行きを見守るだけ。
余計な手出しは無用だと念押しすれば、呆気ないほど簡単にフロイドが頷いた。
「うん、しないしない。オレねぇ、“ヒカルちゃんの協力は”しないって決めたから、安心して?」
「……なら、いいけど。」
なんだか妙に含みがある言い方に感じたけれど、どこがどうおかしいのかわからず、首を傾げた。