第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
ユウのことが好きだった。
過去の醜い自分の写真を見られた時、揶揄いもせず、馬鹿にもせず、受け入れてくれたユウに惚れた。
でも、受け入れてくれた人は、本当にユウだけだったのだろうか。
強引な手口で契約したにも関わらず、いつでも相談に乗ってくれたのは誰だ?
体調を崩すほどの失敗作を食べ、それでもアズールを責めなかったのは誰だ?
どんなに忙しくても欠かさず連絡を取り、夜更けでも早朝でも返信をくれたのは誰だ?
相談の枠を超え、アズールに温もりと快楽を教えてくれたのは誰だ?
彼女は、いつでもアズールを受け入れた。
泣き喚いても、格好悪くても、情けなくても、拗ねても、いつでもアズールを受け入れて、両手を広げてくれた。
今、この腕に抱きしめたいと想う人は誰だろう。
いつでも、いつまでも傍にいてほしいと願うのは、誰だろう。
アズールが欲しいと願う人の名前は……。
「ヒカルさんが、好きです。」
いつからだったのかは、わからない。
苦しみながら蹲る小さな背を見つけた時だったのかもしれないし、唇を重ねた瞬間だったのかもしれない。
ただ、はっきり言えることは、ヒカルを絶対に手放せないってことだけ。
「元の世界に、帰ってほしくない……。」
二度と会えなくなるなんて、考えるだけで発狂しそうだ。
何度だって名前を呼んでほしい、抱きしめてほしい、キスをしてほしい。
アズールの隣にいてほしい。
それらはすべて、叶わぬ夢になってしまうのだろうか。
悲嘆に暮れ、両手で顔を覆ったアズールに双子が寄り添った。
それぞれの片腕でアズールを抱き、耳もとでそっと囁く。
それは、慰めの言葉――ではなく。
「では、帰れなくしてしまいましょう。」
「そーそー。ヒカルちゃんを帰さなければいいだけじゃん?」
巻きつくように肩を抱かれたアズールは、目から涙……ではなく、鱗を落とした。