第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
どれくらいそうしていたのだろう。
ヒカルの進行方向によっては鉢合わせる可能性があったけれど、運命なのか、偶然なのか、ヒカルはアズールが佇む場所とは反対方向へ去っていった。
まるでアズールとヒカルの道が違えたようで、絶望の色が濃くなった。
「あ、アズール! こんなとこにいた~!」
しばらくしてアズールを見つけてくれたのは、いつでも相談に乗ってくれた彼女ではなく、共に海からやってきた同志の二人。
「捜しましたよ、予鈴が鳴っても戻ってこないので。……どうしました? 顔が真っ青ですが。」
「ヒカルちゃんと喧嘩でもしちゃった?」
喧嘩もなにも、ヒカルとは話すらできていない。
最近避けられていたのは、元の世界に戻る方法が見つかったから、だから距離を置かれたのだろうか。
「……ヒカルさんが、元の世界に帰るようです。」
口にしただけで、嘘だと叫び出したくなった。
ヒカルがいない学園生活などもはや考えられず、空虚な胸に凍てつく風が吹きすさぶ。
「ヒカルさんが帰る? それは確かな情報なのですか?」
「今……、そこで学園長と話していて……。」
放課後、クロウリーの部屋へ彼女が赴いたら、名前も知らないヒカルの異世界へ帰ってしまう。
絶望だけがひしめくアズールに、何とはなしにフロイドが呟いた。
「え~、じゃあ、小エビちゃんも帰っちゃうのかなぁ。」
「……え?」
「ヒカルちゃんが帰れるなら、小エビちゃんも帰れるって考えた方が自然じゃん? どっちも同じ世界から来たんでしょ?」
そこまで言われて、ようやくユウの存在を思い出した。
ヒカルが異世界へ帰るのなら、当然ユウもいなくなる。
少し考えれば容易に想像がついたはずなのに、今の今まで考えもしなかった。
アズールの動揺は、フロイドとジェイドにも伝わる。
「あれぇ、アズール。もしかして気がつかなかった?」
「おかしいですね。アズールは、今日までユウさんのために努力してきたはずでは?」
そうだ。
アズールはユウのために自分を磨いて、ヒカルの助力を欲していたはず。
だけど……。
「ねえ、アズール。アズールの好きな人って、だぁれ?」
「僕の、僕の好きな人は――」