【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第7章 【真紅の暴君】後編
真っ白なお皿に乗った、真っ赤な苺のタルト。
ボクにとっては、どんな宝石よりキラキラ輝いて見えた。
一口食べたタルトは、すごく甘くて……
食べたことないくらい美味しくて……
ボクは一口ずつ味わいながら、夢中になって食べた。
──時間を忘れて。
◇◆◇◆◇◆
リドルの母
「なんてこと!自習をサボッただけでなく、外で砂糖の塊を食べてくるなんて!」
1時間を過ぎて帰ったボクは、お母様に全てを知られてしまった。
リドルの母
「あの2人がリドルを唆したのね。あんな悪い子たちと、二度と一緒に遊ぶことは許しません!」
リドル
「ごめんなさい、お母様!もうしないから、許して……!」
リドルの母
「お黙り!お前がルールを破るからいけないのよ。ああ、やっぱり自由時間なんて持たせるんじゃなかった。もっともっと完璧管理しなくては……」
ルールを破れば、楽しい時間まで取り上げられてしまう。
だから、お母様の決めたルールは、絶対に守らなきゃ。
この街で一番優秀なお母様は、いつでも正しいはずだから。
でも……ねえ、ママ。何でだろう?
何故だかとっても胸が苦しいんだ。
お誕生日だけでいいから、いっぱいタルトが食べたい。お外でいっぱい遊びたい。
もっといっぱい、お友達が欲しいよ。
教えて、ママ……
どんなルールに従えば、この苦しさは消えるの?
◇◆◇◆◇◆
ボクは、泣き続ける幼いボクを見つめながら、“あの子”に言われた言葉を思い出した。
『貴方は、ハートの女王の法律にがんじがらめにされた、哀れな操り人形だ』
ああ、そうか……
ボクは、ずっと……ルールに従うことしか出来ない、ただの人形だったんだ。
それならこのまま、目覚めなくたって……
「―――!!!」
「―――――!!」
誰かの声が、聴こえる。
トレイ
「リドル!!!」
ユウ
「リドル寮長!!」
ボクを呼ぶ声が、聴こえた。