第3章 アガット
手や足を拭いたら、立ち上がって翔くんにドアドンした。
危うく襲いそうになった。
「じゅ、潤!?」
いかん…風呂に入ってからって言われたんだった。
「…一緒に、入るよね…?風呂…」
なんとかそう誤魔化して。
その姿勢のまま、ドアの横にある給湯リモコンの、給湯ボタンを押した。
ピッと音が鳴って、やがてお姉さんの声で『お湯張りを開始します』っていう声と、楽しげな音楽が聞こえてきた。
「…は…入らない…」
「え…?なんで?嫌なの…?」
「ち、違…そ、その…」
「ん…?」
「準備…しなきゃいけないから…」
「じゅんび?」
って…なんだ?
「もおっ…言わせるなよっ…」
恥ずかしそうに下を向いてしまった。
「え…?えと…???」
なんだ…?準備って、なんなんだ…?
戸惑ってたら、翔くんが涙目で睨んできた。
思わずホールドアップして、ドアドンを解除した。
「俺っ…トイレ入るからっ…」
「え?え?うん?」
「ちょっと長くなると思うからっ…入りたいなら先に入って!」
これまた顔を真赤にしていうから、しょうがなくトイレに向かった。
「一体…なんの準備だ…?」
謎が多すぎて、俺には答えが出せなかった。