第3章 アガット
「え…?」
翔くんがびっくりした顔でこっちを見てる。
そういや…大人になってから、ちゃんとお礼って…
軽く言うことはあっても、してなかったかも。
「いつも…本当に、ありがとう。感謝してる」
膝に手をついて、ぺこりと頭を下げた。
「な、なんだよ…」
翔くんは照れてしまったのか、俺から目を逸してタブレットに目を落とした。
「礼を言われるようなこと…してねーよ…」
ぼそっと呟くと、ビールの缶を空けた。
「もう一本、貰うな」
「うん…」
翔くんより先にビールの缶を手にとって、プルタブを上げた。
「はい、どうぞ」
「おう…さんきゅ…」
ちょっとほっぺたが赤い。
かわいいじゃねえか…
照れくさくて、ちょっと口が尖っているのが…またかわいい。
「むふふ…」
「なっ…なんだよ。キモい」
「あ、傷ついちゃう」
「バーカ…そんなタマじゃねえだろ…」
そりゃ…そんな軟な神経してないけどね。
パタッと、翔くんがタブレットのケースを閉じた。
「その…風呂、入っていいか?」
「あ、うん。用意、する…」
…ってやっぱ泊まるつもりなんだ…
「俺、今日、使ったままで掃除してないし…俺が掃除するよ」
「えっ…しょ、翔くんが掃除!?」