第7章 匂いに酔う【竈門 炭治郎】
「彼なら、奇妙な血鬼術というのにかかって最近まで体が幼児くらいに縮んでまして…3日前にやっと元に戻ったのですが、まだ検査も終わってないのに何度も抜け出そうとするからカナヲに見張らせてます」
「……生きてますか?」
「はい生きてますよ。朝も抜け出そうとしたのでキツく叱りつけました」
「よかった…」
気が抜けた美桜はその場に腰を抜かして気を失ってしまい
馬を繋いで戻ってきた宇随に担がれて屋敷中の病室に運ばれた
「すっげぇド派手な登場だったな」
宇随は何度か御館様の屋敷で美桜と顔を合わせた事はあるがあまり親しくはしていない。こんなに粗暴な女だったか?と考えていた
「美桜さんはいつもは行儀も良くて優しい人ですよ」
宇随の考えが伝わったのか、しのぶは美桜をちゃんと擁護した
「時々竈門くんが美桜さんの所へ通っていたようなので…今回の事をどこかしらで聞いて駆けつけたのかもしれませんね。美桜さんは…
『炭治郎くんは生きてますか』
それだけを聞いて気を失ってしまいましたからね」
「あのガキこんな派手でいい女に何したんだ?」
白い肌、琥珀色の髪、翡翠色の瞳…派手好みの宇随さんのタイプなんでしょうね
「知りませんよ…炭治郎くんに聞いてみてはどうですか?」
しばらくして騒動を聞いた炭治郎が美桜の病室にやってきた
「少し…美桜さんの顔を見てていいですか」
「…どうぞ」
炭治郎と美桜を残ししのぶは出て行った
炭治郎は美桜のベッドに座り頬を撫でた
柔らかい感触と温かさにホッとする、手は自然に動き美桜の耳をなぞる、美桜のまぶたが少し震えて翡翠色の瞳が炭治郎を見つめた
「生きてる…よかった…」
翡翠色の瞳から溢れる透明な滴がこんなにも美しく、そして胸が締め付けられるほど愛しい物だと初めて知った
「心配させてごめん…鴉を飛ばそうにも上手く話せなくてできなかった」
「…不安だった、炭治郎くん鬼殺隊だし」
美桜が起き上がり炭治郎を抱きしめる
抱きしめてくる美桜の体が禰豆子とは違う、大人の体の柔らかさに炭治郎は少し驚いた。それに美桜から漂う甘い匂いが濃くなり息苦しいくらいだった