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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第22章 【パンドラの箱】


「なんていう事態です!?スポーツマンシップのかけらもない!!ここは決闘場ですか!?」
「違います、先生。ドラコが先に悪口を――」
「言い訳は聞きません!3人とも罰則です!今すぐ寮監の部屋へ向かいなさい!!」

 3人が城へと歩いていくそのすぐ後ろを、マクゴナガル先生が追いかけた。そして何故か関係のないアンブリッジまでその後ろを追いかけていくのが見えた。
 クリスは凄く嫌な予感がしたが、すぐにハーマイオニーが来て、心配そうに「ロンを見なかったか?」と聞いてきた。
 そう言われてあたりを見回したが、ロンの姿はどこにもない。ハリー達の事も心配だが、今のクリスにはどうにも出来ないので、それならロンを探そうと、ハーマイオニーと手分けして校内を探した。だが、どこにもロンの姿はなかった。

* * *

 やがて夕暮れになり、クリスは談話室に戻った。試合に勝ったというのに、談話室の中はまるでお通夜の様にシンとしていた。
クィディッチチームのメンバーの何人かは、まだユニフォーム姿で、その中にハリーやフレッド、ジョージの姿はあったが、やはりロンの姿は無かった。

「ロンは……まだ帰ってきてないのか?」
「……ええ」

 言葉少なげに、ハーマイオニーが返事をした。確かに大変な騒ぎだったが、それにしたってこの静けさは異常だ。
 クリスはアンブリッジの事を思い出し、またクソみたいな罰則を言いつけられたんじゃないかと不安に駆られた。

「罰則はどうなった?まさかまたアンブリッジの書き取りじゃあ――」
「書き取りじゃないよ――禁止。クィディッチの終身禁止だ」
「なっ……なんで?まさかマクゴナガル先生がそれを許したのか!?」
「また新しい『教育令』が発令されたんだ。今後はアンブリッジがどの先生よりも権限を得る」
「はあっ!?」

 あまりの横暴さに、クリスは開いた口はふさがらなかった。
 職権乱用もいいところだ。こんな事がまかり通って良いはずがない。しかし、無力だ――法の前ではあまりにも無力だった。
 クリスは悔しさのあまり唇をかんだ。誰も何も言う事が出来ず、たちまちクリスも無言になった。
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