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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第22章 【パンドラの箱】


「……つまらない友情ごっこかい?ポッター。ウィーズリーの首を守るのに必死だったわけだ」
「………っ!」
「あの歌詞は気に入ったかい?豚小屋生まれのウィーズリー、豚小屋育ちのポッター。その内ウィーズリーも目立ちたくて嘘を吐くようになるのかい?ええ?」
「ドラコ、お前っ――!」
「気にするなよクリス。負け犬の遠吠えだ」

 ドラコに平手打ちの一発でもお見舞いしようとしたクリスの肩を、ハリーが引き戻した。
 するとその手を、ドラコが勢い良くはじき飛ばした。ドラコの目はもう笑ってはいない。ブルーグレイの瞳が氷の様に冷たく光り輝いていた。

「薄汚い手で触れるな、ポッター。本来なら彼女と同じく空気を吸う事さえ許されない身だぞ」
「それはこっちのセリフだマルフォイ。良くクリスの前に堂々と顔が出せたもんだな」
「なんだと?」
「お前の父親のせいで、クリスがどれだけ苦しんでいるのかも知らないくせに!」
「……っ貴様に何が分かる!?この豚小屋育ちの穢れた血風情が!!」

 この瞬間、ハリーがドラコに飛び掛かると思い、クリスは咄嗟にハリーのローブをつかんだ。
 しかし飛び出したのはハリーではなくフレッドとジョージだった。クリスが唖然としていると、その隙に制止を振り切り、ハリーもドラコに襲い掛かった。
 4人の体は地面に倒れ、3対1の態勢でドラコは猛攻を受けていた。そのあまりの惨劇に、クリスの体は麻痺したように動かない。
 女生徒の叫び声が耳に響き、それが自分の声だと分かった時には、もう既にドラコの体は殴られてボロボロの状態だった。

「インペディメンタ!!」

 フーチ先生が呪文を唱えると、ハリーとフレッド、ジョージの体が吹き飛ばされ、地べたに倒れた。
 クリスは一瞬どちらを助け起こそうか迷ったが、フーチ先生が血だらけになったドラコを助け起こしたので、自分はハリーのそばに駆け寄った。
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