• テキストサイズ

ハリー・ポッターと沈黙の天使

第22章 【パンドラの箱】


 ハリーもハーマイオニーもそれに同意したが、どんな言葉もロンの耳には入っていないようだった。ロンはただシリアルの入った皿を見つめながら、幽霊のような表情で何かをぶつぶつ呟いている。

 丁度そこに、妹のジニーがルーナと一緒にやって来た。
 ルーナはどうしたのか、本物そっくりのライオンの頭を帽子にして、杖で付くと大広間中に響き渡るほど大きな声でライオンの吠え声がした。この声には、流石のロンも反応した。

「どう?気に入った、これ?あたしはレイブンクローだけど、これからはグリフィンドールを応援するよ」
「あ、ありがとう」
「うん、ふれー!ふれー!ロ・ナ・ル・ド!」

 言いたい事だけ言って、ルーナはライオンの帽子をグラグラさせながらレイブンクローの席に戻って行った。
 突然のサポーター参戦に、クリスはブハッと吹き出した。この唐突さがいつもクリスのツボをついて仕方がない。
 笑っている場合じゃないと思いながら、ついつい笑いが堪え切れず、キャプテンのアンジェリーナが選手全員を連れて控室へ行くのを、下を向いて唇を噛みながら見送った。

「笑い事じゃないわよ、クリス」
「いや、あはは……これは見事な応援だと思って。ははは……ふ、普通は誰もあそこまでしないだろう?」

 グリフィンドール生徒だって、やって精々金と赤のスカーフにバラ花の飾りくらいだ。後は手作りの横断幕くらいで、あそこまで突拍子もない応援グッズは初めて見た。
 クリスがくすくす笑っていると、ハーマイオニーが真面目な顔で迫って来た。

「お願いだから、ちょっとは真剣になって。あれ、どうにかしないと」
「あれって?」
「あれよ、見て!」

 ハーマイオニーがスリザリンのテーブルを指さした。緑色と黒のローブの胸に、みんな揃って王冠型の銀色のバッジを着けている。
 バッジには大きく【ウィーズリーこそ我が王者】と書いてある。これには絶対に裏があることは火を見るよりも明らかだ。
 クリスの顔が一瞬だけ険しくなったが、要はハリーがドラコよりも先にスニッチを取れば良いだけの話しだ。それほど深刻なる必要はない。
/ 363ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp