刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第49章 刀剣男士の苦悩と決断
山姥切は大倶利伽羅の言葉を聞いてわずかに眉を動かした。
「俺は……主に、」
「分かっている。あんたが動けば空気が変わる。そうなればあいつも勘づいた」
大倶利伽羅のその言葉に、山姥切は静かに息を吐く。
「……だろうな」
月明かりに照らされた横顔が少しだけ緩む。大倶利伽羅はしばし黙ったまま月を見上げた。そして――ほんの一瞬、視線を逸らしてからまるで独り言のように低く呟いた。
「…助かった」
それだけだった。だが、大倶利伽羅の聞き慣れない珍しい一言に山姥切のお酒を飲んでいた手の動きが止まる。
「は……今、なんて言ったんだ?」
「聞き返すな」
「…」
「……俺一人で背負えたのは…あんたらが黙って耐えてくれたからだ」
風が二人の間を通り抜ける。山姥切はゆっくりと大倶利伽羅を見て、そして小さく笑った。
「……終わりよければ全て良し、ということだな」
それ以上山姥切も何も言わなかった。大倶利伽羅もそれに対し返事をせず、ただ立ち上がり踵を返した。
何も言わずとも、背中越しに交わされた信頼が確かにそこにあると、そう感じたのだった。