第34章 scene6:HIMEは君の中にずーっといるよ♡
どんなに口では“僕が一番”って言ってても、翔くんはやっぱりHIMEの方が好きなんだ、って思ったんだもん。
自分で自分に嫉妬しちょってさ…、凄く惨めだったんだもん。
「あの…さ、俺らが口挟むことでもないかもしんないんだけどさ…」
ニンニクがたっぷり入った大量のギョーザを焼き終えた相葉さんが、エプロンを外しながら言う。
「俺もさ…って言うか、俺らも同じようなことで喧嘩したことあってさ…」
ね?、と相葉さんが和を見る。
それに和も“確かにあったわ”と、自嘲気味に笑って頷く。
そして、親指でクイッと相葉さんを指で差してから、
「だってこの人酷いんだよ?」
その時のことを思い出して…なのか、元々コケ気味の頬を目いっぱい膨らませた。
「私のこと抱きながら、“和奈”って何度も呼んでさ…」
え、ちょっと待って?
“和奈”って誰?
え、相葉さん浮気してた…とか?
「あ、“和奈”って、私のデビュー当時の芸名ね」
そうなんだ?
僕は“NINO”しか知らないから、別の芸名があったことも知らなかった。
ってゆーか…
「それは酷いね…」
「でしょ? そりゃ“和奈”も私には違いないんだけど、やっぱりさ…、ねぇ?」
「うん…」
僕はまだ経験ないけど、もしエッチの最中に“HIMEちゃん”とか呼ばれたら…、やっぱりショックかも。
「その時に思ったよね…、コイツ何だかんだ言いながら、結局女の格好してる私の方が良いんじゃないか、って…」
それは…、和がそう思うのも無理はないかも。
「その後かな…、私が芸名変えたの。ほら、“NINO”だったら、仮に頭ん中で女の格好してる私を想像してたとしても、名前を呼び間違えることはないからね」
確かに(笑)
現に相葉さんは、和のことを“ニノ”って呼ぶ時もあれば、“カズ”って呼ぶ時もあるし…
でもまさか二人の間にもそんなことがあったなんて…、全然知らなかったよ。