第34章 scene6:HIMEは君の中にずーっといるよ♡
「翔くん来るって?」
僕が聞くと、
「当たり前でしょ? 智がいるって言ったら、“すぐ行く!”だってさ(笑)」
そう言って相葉さんは満面の笑みを浮かべた。
その能天気過ぎる相葉さんの笑顔に、僕の肩がドーンと下がる。
「くくく、雅紀にしてはやるじゃん(笑)」
笑い事じゃないってば…
「まあでもさ、智みたいなノンビリしてるくせして、やたらと頑固なタイプはさ、ちょっとくらい強引にいかないと、拗れる一方になりかねないからね」
「お、雅紀にしては良い事言うじゃん(笑)」
「あのさぁ、俺だっていつもふざけてるばっかじゃないんだからね?」
確かにそれはそうかも。
いっつも冗談ばっか言ってる印象の相葉さんだけど、“たまに”凄く的を得たことを言ったりする。
現に僕…否定出来ないもん。
はあ…、こうなったらもう諦めるしかないよね。
この状況じゃ、どう考えても逃げ出せそうにもないし、それに…
ニンニクの匂いをプンプンさせた大量のギョーザを前にした途端、僕のお腹の虫がワクワク始めちゃったし(笑)
数分後…
まるでサウナでも入ったんじゃないかってくらいの汗をかいた翔くんが、物凄い勢いでリビングのドアを開けたかと思うと、
「智くん…!」
いきなり僕に抱きついてきて…
「え、ちょ、ちょ、翔…くん…?」
突然のことに焦る僕の両頬を両手で包むと、三人が見てる前でブチューって…、額から頬から…、それから鼻の先にも唇にも、キスをした。
「もう…、心配したんだよ?」
「ごめん…なさい…」
って、何で僕謝ってんだろ?
「まあ…、俺が悪るいんだけどさ…」
え?
「ごめんね? 俺さ、やっぱHIMEちゃんは特別っつーかさ…」
だろうね…?
だってポストカードにサインが入ってたって分かった時の翔くん、尋常じゃない喜び方してたもん。
だから僕…