第34章 scene6:HIMEは君の中にずーっといるよ♡
「まあ…、あん時はさ、しょうがないって言うかさ…」
和が話すのを、終始苦笑いを浮かべて聞いていた相葉さんが、自分の部が悪くなりかけたところで、言い訳を始める。
「俺も櫻井くんと同じで、すげぇ好きだったからさ、“和奈ちゃん”のことがさ…」
「そう…なの?」
「勿論、その時はAVとか出てたしさ、普通に女の子とも付き合ってたりもしたんだけどさ…」
そっか…、確か相葉さんてどっちもイける人…つまりバイだったんだっけ…
「でも色々あって和と付き合うようになって…、でもさ…やっぱり“和奈ちゃん”のことは忘れられないっていうかさ…、特別な存在なんだよね…」
でもだからって名前間違えるのは、酷いと思うよ?
「今…でも?」
「うん、特別だよ?」
僕の問いかけに、相葉さんは大きく頷くいて、それからまるで夢でも見てるような…、うっとりとしたお顔をした。
「何て言ったら良いのかな…、良くさ“永遠のアイドル”とかって言うじゃん?」
「ああ、うん…」
確か母ちゃんも良くテレビ見ながら、昔好きだったアイドルとかに目をハートにしてたっけ…
それと同じ感覚なの…かな?
「やっぱさ、忘れようとしたって、そう簡単に忘れられる存在でもないんだよね…」
「恋人がいても? 絶対忘れられない?」
「勿論♪ だって“永遠”なんだもん」
ふーん…、何だか良くわかんないけど、翔くんにとってのHIMEは“永遠のアイドル”的存在…ってこと…、なんだよね?
まあ…、僕や和の場合は、相葉さんや翔くんにとっての“永遠”って存在が、自分自身だったりするから厄介なんだけど…
「ねぇ、翔くんが今一番好きなのは“僕”? それとも、HIMEの姿をした“僕”? どっち?」
「それは…決まってるでしょ?」
言いながら翔くんが僕の手をそっと握る。
そして僕の髪をそっと撫でると、今度はしっかり僕の唇にキスをした。