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私だってヒーローに

第6章 私が


「…何してんだ、こんなとこで授業サボって」
「…ブーメラン。勝己」
「あんなスカした半分野郎より、俺の方がいいだろ。どうしてそこまで引き摺るんだよ」
「…五月蝿い。あんたには関係ない。どうせ裏切るならどこか行って」
風を背中にモロに受けながら、三角座りしてそこに顔を埋める。正直、勝己の質問は自分でもわからない。けどきっと、知らないうちに男と付き合って、初恋をフラレて終わったなんて結果だからだ
「…ヒーロー学だけは来いよ」
「…気が向いたら」
どうせ向かないだろうけど。焦凍と出くわしたくない。そう思っていると、重たいけど暖かい何かが乗った。
「一応、俺等付き合ってんだから…もっと頼れや」
「…」
それに返事はできなかった。私は、何処かでまだ焦凍が好きなのかもしれない。その気持ちに嘘をつけず勝己と付き合うという事実を認められないのかもしれない。だけど気がつけばそうなっていたことも事実なのだ。だって私は焦凍に惚れさせられた…
「…お前が何考えてるのか俺にはわからねえ」
「…私もわからない。何を考えていてこうなったのか。私は何なのか。私が何したのか。何もわからない。どうすれば人を信用できるんだっけ、とかも。」
「…そうか」
しばらくの沈黙の後、勝己が口を開いた
「…屋上からダイブはやめてくれよ」
「…する、かもしれない。私はヒーロー側でもういれる気がしない。近いうちに敵が現れたら、仲間にしてくれって言うかもしれない。その前に限界が来たら飛ぶかもしれない。私は自分自身でも何を考えてるのかわからないの」
私は、何を考えて。何を思って。誰を信頼して。誰を信頼していなくて。何も、わからなくなってしまった。
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