第29章 アルバーナへ
「んぐっ……!!?」
息ができなくて苦しかったのに、水を水面に勢い良くのし上げたせいでさらに苦しくなってしまった。私のところへちょうど助けに来ようとしてくれたのか、ゾロまで巻き込んで勢い良く水から出た。外から見ると、いきなり湖から噴水ができた、みたいな感じだろうか。そのまま着地できずに私とゾロはズダァン!!と地面に打ち付けられた。
「…………ゲホッ、ゴホ…………ご、ごめんねゾロ………ハァ…」
「………エェッホ!!くそ、何なんだ今のは……!!」
周りを見ると…スモーカーとルフィが対峙しているように見えた。多分、スモーカーを助けろと指示したのはルフィなんだろう。恩を感じてるわけじゃないだろうが…今スモーカーからは敵意を感じない。
「あそこだ!!麦わらの一味だァ!!!」
「さァっ!!行こうぜ海軍が来る、アルバーナはどっちだ!?」
「向こう!!東へ真っ直ぐよ。」
「おいルフィ、なまえ急げ!!」
「あぁ…」
向こう側から海軍の声が聞こえた。私がモタモタしてたから見つかってしまったのだろうか、申し訳ない。息は整ってなかったけど、今は逃げないと海軍に捕まってしまう。クラウチングスタートよろしく、声をかけてくれたゾロの元へ走る。
「ハァ…ハァ……なんか久しぶりに走ってる気がする!!」
「そうだろうな、背負われてることが多いじゃねぇか。」
そのとおりですね。だって自分で走ろうと思ってても、誰かが背負ってくれるんだもん。
「おい!!もしかしてこのまま走ってアルバーナへ行くなんてことねぇよな!!」
「そうだ“マツゲ”!!“マツゲ”はどこに行ったの!?」
「この町に馬小屋とかあったぞ!!?馬もらおう!!」
「でも町には海軍が…」
みんなに焦りが見えてきた。確かにただえさえロスしてるのにのんびり歩いて向かうなんてできない。だからといって走っていける距離でもない。どうしようと考え始めた時…前から気配を感じて顔を上げる。