第29章 アルバーナへ
「“食事中は極力音を立てませんように”。」
「“反行儀(アンチマナー)キックコース”!!!!」
「…………あ。」
視界からワニが吹っ飛んだ。やっぱり、すごいやこの人は。
「オッス、待ったか!?」
「「プリンス〜〜〜〜〜!!!!」」
「ビビ〜〜〜っ!!!よくやったぞ!!!」
「うんっ」
何とかビビが連れてきてくれたみたい。みたところ怪我はないし、息がみだれてるようなこともない。やっぱりあれは襲われていた、という演技をしてたんじゃないだろうか。
「……………ハァ…ぁ………」
がくん、と膝が地面についた。地面につくと、腰辺りまで水に浸かる。ようやくことの重大さに気づいて今まで出なかった震えがでた。ワニの怖さ、水が迫ってくる怖さ、命の危険、そして…自分の計り知れない能力の怖さ。一気に体に襲ってきて、ガタガタと小刻みに震えだす。
「ごめんななまえちゃん。こんな大量のワニを1人で相手させちまって…もう大丈夫だ、後はおれに任せてくれ。ビビちゃん、なまえちゃんを連れて奥へ。」
「うん!なまえさん、こっちよ。」
膝をついてた私を優しく持ち上げ、立たせてくれたサンジ。その優しい笑みだけで私はどんだけ安心したことか。ビビに連れられ比較的安全なところまで避難する。後は、サンジがなんとかしてくれる。
「グルルルルル!!!」
「っか〜〜〜〜!!出て来やがった、次々と……………!!!何本でも房になってかかってこいよクソバナナ。レディーに手を出すような行儀の悪ィ奴らには片っ端からテーブルマナーをたたきこんでやる…!!」
「サンジとにかく時間がねぇぞ、秒殺で!!!瞬殺で頼む!!!」
「今…3番目に部屋に入ってきた奴を仕留めろ。」
「何だ!?お前…わかんのか?」
「てめぇらの耳は飾りか?…今の声、カギ食ったヤツと唸り超えが同じだろ。」
そういったスモーカーの言葉を信じて、サンジは軽々とワニを蹴り飛ばす。腹を蹴飛ばしたので、中に入ってるものは直ぐに口から出てきたが……出てきたものは鍵ではなかった。