第29章 アルバーナへ
「……………なまえ!!!!」
「…………?………っわっ!!」
ルフィの声で振り向こうとしたが、ワニの尻尾攻撃に思いっきりジャンプをして回避することに精一杯になってしまった。しかし、これ以上水圧を利用した技を使うわけにはいかない。ガラスが全部割れきっちゃって、さらに時間が短くなってしまう可能性があるからだ。
「……どうしよう……」
「………お前!!能力者だったのか!?」
「………えっ!?」
能力でできること…と色々考えてたからルフィに呼ばれてたことを忘れてた。能力者か、と問われたのか今。………あ、そういう誤魔化し方もあるのかとおもってしまった。……よし、乗っかろう!!
「…………えー…うん!!そう!!悪魔の実!!私も食べたの、ルフィ!!」
微妙に誤魔化せてないような返答の仕方だが、なんだそうだったのか!!というルフィの言葉で安心した。その他は全然納得してないような顔してるけど、まぁいいか。
「グオオオオオアアア!!!」
「……ひゃっ!?いや、来ないで!!」
パァンッ!!!
「グォッ……」
反射で手を突っぱねて目を瞑る。襲ってきたワニを手で回避できるとはさすがに思ってなかったのだが……目の前のワニが思いっきりとばされて、後ろに並んでたワニ達に当たって飛んでった。なんだ、何が起きた。
「………衝撃波…」
「何したんだ今の!!?」
「…………吹っ飛んだ…」
衝撃波とゾロがつぶやいた。もう膝下くらいまできていた水を見てみると…確かに私を中心に弧を描くように小さな波ができていた。衝撃波を撃ったんならなんとなく納得ができるような、ビリビリとした感覚の腕の痛みも残っている。
「………………もう分かんない……」
自分が何をやってるのか、分からなくなってしまった。技もレパートリーが少ないどころかさっきやったやつしかない。上手く使えば世界を滅ぼす力とシャンクスが言ってた。確かにさっきの一発は操れきれてない私がやっても充分な力を発揮していた。でも…これ本当に私ができるようになるのかな。私の武器は短剣やヨーヨーだけじゃダメだろうか。考え始めるとどんどん深く落ちてしまうのが私の悪いところだ。おかげで近づいてきていた5匹の怒れるワニ達に気づかなかった。ナミの叫びで気づいた時は、既に目の前に大きな口があった。