第29章 アルバーナへ
「……ここが湖でよかった、と思うべきかな。」
ルフィがいる、なんてそんなの気にしてたらビビがやられてしまう。下に溜まった水を操れる、と本能的に思った。手に力を込めたら、例のごとく石が青色に染まる。
「潰れろっ!!!!」
パンッ!!!
「グギャァ!!!」
勢いを増した水の圧力を舐めてはいけない。私達の体はもちろん、こんな大動物の体も簡単に潰れてしまうほどの威力をもってるのだから。
「……えっ…お前…!!」
「やった!!!凄いわなまえ!!ワニを一発で…」
ザバァア!!!
ワニをやっつけてナミやウソップが喜んだ。しかし威力が強かったのか、はたまた衝撃が伝わったのか、ガラスが割れてしまった。外は湖、すぐに大量の水が入ってきてしまう。
「ガ!!…ガラスが割れて水が!!!」
「これじゃ20分もしねぇ内に沈んじまうぞ、この部屋は!!」
20分!!?めっちゃ時間がなくなってしまった。この時間じゃ私が1匹1匹倒しても大量のバナナワニから鍵を見つけ出すのは難しい。やっぱり、サンジを連れてきてもらおう。彼なら、彼の知恵ならこの絶体絶命の事態も切り抜けられるかもしれない。
「ビビ!!ワニは私が頑張って相手してるから、サンジを呼んできて!!」
「…でも!!」
「お願い!!!……時間がないのっ!!」
「……………………分かった!!!」
ビビは、私が倒したワニの体を踏み台にして階段へ飛び乗った。ドアへ向かったビビを見送って私は、再度ワニと対面する。さっきは1匹だけいたが、今度は5匹いっぺんに部屋に入ってきていた。ガラスが割れたせいだろうな…
「…………怖い…無理。」
「いやお前さっき平然とワニ倒してただろうが!!!」
「……だってビビが死んじゃうと思って!!」
「あの技使ってこいつら全部やっつけちゃってよ!!!そして鍵を見つけ出すのよ!!」
檻に入ってるからって無責任なこと言いやがって。確かに私はワニ倒せたよ?あれは必死になって、という部分はある。…でも、ビビを逃して冷静になってみると……ワニは私の何十倍もの大きさで、しかも牙を向いてる。怖いもんは怖いのだ。