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パンひとつ分の愛を【ONE PIECE】

第7章 トラ男とパン女の攻防戦




固まるムギをどう思ったのか、唐突にローがキスを落とした。
頬、鼻、唇の順に口づけて、最後に大きく息を吐く。

「そんなにビビるなよ。ヤラねェと言っただろ、今日は。」

「今日は、ってなんですか!」

「あ? こちとらヤリたい盛りのガキなんだよ。いつまでも我慢できるわけねェだろ。」

いつもは大人顔負けの態度を取るくせに、こんな時だけガキと主張するのはズルイ。
それでも“しない”と宣言してくれたことには幾ばくかの安心を覚え、ムギの身体から力が抜けた。

けれど、安心したのも束の間、強張りが解けたと理解したや否や、胸の上に置かれた手が大胆に動いた。

ふわふわの寝間着をたくし上げ、裾の中へ侵入した手が薄っぺらいキャミソールの上を這う。

「や……ッ、どこ触ってんですか!」

「だから胸だと言っただろう。」

数分前のやり取りを繰り返したけれど、数分前とは状況が大きく違う。
ローの手は、ルームウェアという壁を壊し、頼りない肌着の上から胸を触っている。

しかも、それだけでは飽き足らず、パッドの隙間から直に触れようとしていた。

「待って、それは無理!」

「今までだって、いいとは言ってなかったじゃねェか。」

「そうじゃない、そうじゃなくって……あッ」

ムギの制止も虚しく、ローの長い指がキャミソールの下に滑り込んだ。
触れているのは、直の肌、直の胸。

「……ッ」

たいして大きくもない胸を初めて異性に暴かれたムギは、拒絶も抵抗もできず、声ひとつ出せなくなった。
ムギの顔はたぶん、林檎にも負けないほど赤くなっているだろう。

「嫌がるなよ、ムギ。」

なにか言えればよかった。
無理を言うなとか、このスケベとか、なんでもいい。

しかし、あまりの衝撃に声の発し方を忘れたムギは、食い入るようにローを見つめるだけ。

「恥ずかしいなら、見ない。見ないから、もう少しだけ触らせろ。」

あとから考えてみたら、拒絶してもよかったと思う。
なにせ、自分たちは付き合い始めて一日目。

けれど、この時のムギは、ローの熱のこもった視線に圧倒され、愚かにも頷いてしまったのだ。



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