第7章 トラ男とパン女の攻防戦
ただでさえ強引な男に、許可を与えると厄介だ。
米ひと粒分の遠慮すらなくなったローは、これ幸いとばかりにムギの胸を弄り倒す。
「んッ、やぁ……!」
視界には、入らない。
ローは“見ない”と約束したことを守り、ルームウェアのボタンひとつも外さない。
しかし、一枚布を隔てた下では、慎みを忘れたローの手がキャミソールのパッド部分を引き下ろし、零れ出た胸を淫らに弄っている。
「柔らけェな……。」
そういう感想は、まったくいらない。
胸なんて脂肪の塊だから、柔らかいに決まっている。
しかも、今のムギは仰向けに寝転んでいるから、貴重なお肉も横に流れて、ささやかな膨らみしかないはずだ。
サイズ的には、大きくも小さくもない。
でも、男性が理想とする大きさを思えば、とても物足りないだろう。
そう思うのに、ムギの胸を撫で、揉み、擽るローの手つきはしつこく、そして目に見えて興奮していく。
さらに言えば、平静を保てなくなったのはムギも同じで、興奮が伝染するように身体も心も昂っていた。
ムギの中に眠る興奮の種が芽生えたのを見極めたように、ついにローが胸の尖りに触れた。
あえて避けていた頂を摘ままれて、ムギの身体がびくりと跳ねる。
「ひ……ッ、あぁ……ッ」
入浴中に何度も触れているはずのそこは、自分で触った時とは比べものにならないくらい敏感になっていた。
痛いわけではない。
でも、感度を増した胸の先端を親指と人差し指とで捏ねられたら、涙が出るほどぞくぞくした。
「あ、あ、ダメ、それ……ッ」
服の下でもぞもぞ動く手を止めようと、必死になってローの腕を掴んだ。
裾から出た二の腕に爪を立て、渾身の力で引き抜こうとするも、筋力の違いか、執念の違いか、ローの腕はやはり抜けない。
「離せ、邪魔だ。」
「でも、それ、ダメなの!」
もはやローを気遣う余裕もなく、本気で立てた爪が彼の肌に食い込んだ。
「約束は、守ってる。」
事実のみを告げたローは、ムギの抵抗をものともせず、片手でムギの両手を外し、手首を掴んで頭上に縫い留めた。