• テキストサイズ

パンひとつ分の愛を【ONE PIECE】

第7章 トラ男とパン女の攻防戦




ムギの残念な思考回路を思い出したローは、ため息混じりに質問をする。

「なにが好きだって? まさか、パンの話じゃねェだろうな?」

ムギの好きなものといえば、パンとお金。
さすがにお金が好きだと宣言しに来たわけじゃないだろうから、可能性としてはパンが濃厚。

なにせ、彼女の頭の中は半分以上がパンでできている。

けれどもムギという女は、いつだってローの予想を軽く上回った行動をする女だった。

「なに言ってるんですか? わざわざパンが好きだなんて言いにくるわけないじゃないですか。」

「もっともな意見だな。じゃあ、なにが好きだって?」

「だから、ローのことがですよ!」

「……は?」

今度こそ、ローの頭の中はクエスチョンマークでいっぱいになる。

相手は、ローが欲しくて欲しくて堪らない女。
彼女の愛を得ようと、らしくもない行動を起こし、大嫌いなパンにも挑戦している。

ムギを恋い慕っているのは、ローの方だ。

まさか、と一瞬だけ色めいた期待を覚え、それから、ないな、と諦めに似た現実を見る。

期待をする分、あとから知った現実との落差にがっかりするだけ。

真剣な恋心を弄ばれた気がして苛立ち、無意識に掴んだムギの腕を握る力が強まった。

「俺のなにが好きだって?」

「なにって……え、そこまで細かく言わなくちゃいけないんです?」

「そうしろ。」

じゃないと、彼女が言わんとすることがわからず、ローの苛立ちは余計に深まってしまう。

強く掴まれた手首を気にして、それを外そうと試みたムギは、しかし、外れそうにもないことを察して早々に諦めた表情をする。

うーん……と首を傾けたあと、彼女は思いつく言葉を思いつくままに発した。



/ 400ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp