第1章 ♥︎ ONCE ・ AGAIN ♥︎
もう、知らない知らない知らない!
だってあんなの全部翔ちゃんのせい!
キスしたいって言っても、
手を繋ぎたいっていっても。
そうだよ!手を繋ぐのだって
実現までに三ヶ月かかったんだよ?
本当に、あれで人間?
性欲ないの?欲望がないの?
勉強だけ出来たって意味ないんだらね!
あーもう、本当に頭に来た。
こうなったら謝ってきても許さない。
もう決めたもん、俺。
「…翔ちゃんのばぁぁーっか!!」
「おい!危ねぇよ…!!」
「えっ——!? ったぁい!」
「だから言っただろーが…ニノ」
「あ、潤くん…」
俺が『何か』とぶつかって、
尻もちをつきながら見上げた先には
この学校の副生徒会長、潤くんの姿。
そしてその周りに、散らばった沢山の
本やらファイルやら資料やら……。
あちゃー、こりゃ怒られちゃうな。
潤くんから差し出された手に
恐る恐る自分の手も重ねた。
ギュッて強く握られて引かれた腕。
その力で立ち上がった。
軽く、お尻に着いたものを払って
小さく『ありがとう』って呟く。
…だって恥ずかしいんだもん。
『大丈夫かよ』って半笑いされるけど
今はそんな事気にしてらんない。
「ごめんね、今拾うよコレ」
「ああ、良いよそんなの…ってもう拾ってるし」
迷惑かけちゃったもんね…。
潤くんに怒られる前にやっちゃお。
俺はせっせと散らばったものをかき集めた。