第1章 ♥︎ ONCE ・ AGAIN ♥︎
翔ちゃんのさあ、ふにふにした唇。
赤くてなんだかミョーにエロいの。
うー、あー、ムズムズするぅ…。
もうこうなりゃ、やけくそだ!
奪ってやれば良いんだ、無理やり。
そう思ってさ、ぐっと顔を近づけたの。
そしたら、どうしたと思う?
翔ちゃんったら……。
「おい、かず…すんなよ?」
「むぅっ、だってぇ…したいの!」
すんでのところで、唇が手で塞がれた。
本当に本当にこれが恋人同士?
もう、これじゃ…翔ちゃんが本当に
俺のことを好きなのか不安になるよ。
くそぅ、翔ちゃんのばぁーか…。
「卒業まで待ってくれよ、あと半年だろ?」
「まだ!半年!あるの!…本当に俺の事すき?」
「当たり前だろ、俺が告ってんのに」
「信じらんない…だからキスして」
「それは無理、卒業したら沢山してやるから、な?」
こうしていつも話は終わる。
もうどうしたら普通の恋人みたいに
キスしたり、エッチしたり出来るの?
俺たちだって、出来るよね?
翔ちゃんだって健全な男子高校生。
……溜まったりしないわけ?
こんなに俺がアピールしてるのに?
もう、本当に分かんない!
俺ばっかりしたくてしたくて堪んない!
っていう変態みたいじゃん。
こんなの不公平、フェアじゃない!
翔ちゃんが悪いんだからね…ふん。
俺をムカムカさせた罰なんだから。
「もう翔ちゃんなんて知らない!」
「あ、おい!待てって、かず!」
俺は、生徒会室を飛び出した。