第13章 GW合宿
翌日の早朝。潔子先輩の声で目覚めた私は、身支度を整えて眠い目を擦りながら先輩と一緒に合宿所へと早々に移動した。
皆が起きる前に朝ご飯の準備をする為、私たちの朝は早いのだ。
今日から本格的に合宿所での練習が始まる。
しっかりスタミナを付けて、沢山動けるように朝ご飯にも気合いを入れなくてはいけない。
滞りなく朝ご飯を作り終え、皆と一緒に朝食を摂る。
相変わらず、蛍と山口くんは少食だし、日向くんと西谷先輩は凄い食欲だ。
朝ご飯が終われば、今日はロードワークから始まる。
体力作りはどんなスポーツをするにしても基本になることだ。
バレーボールは運動量が多い。体力作りはとっても重要なのだ。
潔子先輩から、合宿所のことはやっておくからロードワークの付き添いをして欲しいと頼まれた。
怪我をした時の為の救急箱や、テーピングのテープ、タイマーなどの最低限の持ち物を持って皆と一緒に外に出る。
昨日来た時の少し不気味な合宿所の雰囲気から一転、麗らかな日差しの下にあるこの建物は昨日とは別の建物に見えた。
心地よく吹く風が気持ちいい。
最高のロードワーク日和だ。
合宿所のほど近くにある坂道へと移動して、私は先にその坂道の1番上まで登っていく。
皆がゴールした時のタイムを測る為だ。
私がゴール地点に到着して程なく、下から足音が聞こえてくる。
蛍と山口くんだ。
『お疲れ様。』
「ん。」
「あ、·····ありがと、さん。」
やっぱり坂道での走り込みは大分しんどそうだ。
タイムを2人に伝えて後続を待つ。
次はスガ先輩と、田中先輩だ。
『お疲れ様です。』
「ん、ちゃんありがと。やっぱ坂道はきついなー!」
「まだまだ行けますよ!スガさん!!」
さっきと同じように2人にタイムを伝えて後続を待つ。
すると、すぐに足音が聞こえてくる。
大分今まで走ってきた蛍達やスガ先輩よりもペースが早いように感じる。
登ってくる人影を目に捉えると、登ってきたのは日向くんと影山くん。凄いスピードだ。
タイムをしっかり測れるように身構えて、もうボタンを押す、と2人にジッと視線を送っていると、影山くんはきちんと所定の場所で止まったけれど、日向くんは私を通り過ぎてそのままどんどん走っていってしまった。
『日向くんっ!?』