第13章 GW合宿
初めて訪れた潔子先輩のお家。
迎えてくれた潔子先輩のお母さんは先輩にとてもよく似た美人で暖かな人だった。
お邪魔しますと声をかけた時、フワリと笑ったその顔が潔子先輩にそっくりだったのだ。
案内されるまま潔子先輩の部屋へと移動して、誘われるまま潔子先輩と一緒にお風呂に入った。
自分から香るいつもとは違う、潔子先輩と同じシャンプーの香りに擽ったい気分になりながら、髪の毛を乾かしてくれるという潔子先輩の言葉に甘えて座らせて貰った鏡台に目を移した。
なんだか至れり尽くせりで申し訳ないなと思っていたら鏡越しに微笑んでいる潔子先輩と目が合った。
「私ね、1人っ子だから。いつも後ろをついて歩くちゃんが可愛くて。妹が出来たらこんな感じなのかなって思ったら構いたくなっちゃって。ごめんね。」
『私も1人っこなので、お姉ちゃんがいたらこんな感じかなって思ってました。』
「ふふっ、嬉しい。····ちゃんの髪、ふわふわね。」
ブーンというドライヤーの音と潔子先輩の声が部屋に響く。
頭を撫でる潔子先輩の手が温かくて気持ちよくて、自然と瞼が閉じる。
『小さい頃からこんな感じだったんです。ふわふわで、自分で上手く髪が結べなかったから、幼なじみが結んでくれたりして。』
「幼なじみって、今回練習試合に来る音駒高校の人なんだっけ?」
『はい。2人とも、とっても優しいんです。』
「ちゃんは、その幼なじみのこと大好きなのね。」
閉じていた瞼を開けると、穏やかに笑う潔子先輩。
『はい。大好きです。』
「ふふっ、会えるのが楽しみね。」
『はい。』
穏やかに流れる時間が心地いい。
潔子先輩の綺麗な声に、お風呂上がりの温かい体、頭を撫でる優しい手。今日1日の疲れも相まって、どんどん眠気が強くなる。
「ちゃん眠そうね。髪ももう乾いたし、寝ましょうか。」
『はい。』
自分の足が覚束無いのがわかる。
フラフラと歩くのを潔子先輩に支えられながら大きなベッドに潔子先輩と一緒に入る。潔子先輩が体にかけてくれたフワフワのお布団がさらに眠気を誘う。
「ふふっ、ちゃん、おやすみ。」
『おやすみなさい、きよこ···せんぱ·····ぃ。』
優しく頭を撫でられるのを感じながら、私は意識を手放した。