第1章 *紅い月の下で。【高桂】
「お、い…ッ!!離せ…!!」
腕の中で力いっぱいもがくが、びくともしない。
「…小太郎」
耳元で名前を低く囁かれ、ぴくんと身体が反応する。
「き、さま…なんのつもりだ…」
振り向いて、キッと睨みつける。
「…なァ…小太郎……もしも、俺が、お前を好きだと言ったら……どうする?」
高杉の熱い吐息が、桂の耳を掠める。
ゾワゾワして、気持ち悪い。
「な…、何を…訳のわからんことを…」
不穏な空気に、冷や汗が垂れる。
「クク…俺はなァ……昔から、アンタが欲しくて欲しくて、堪らなかった…」
「あ…ッ」
耳たぶを食むように愛撫すると、あがる女のような甘い声。
「俺のモンになれよ…小太郎…」
ぴちゃ、とわざと水音をたてて舌で耳穴を犯す。
「ひ…ッ、や、やめろ馬鹿者ッ!!」
桂は必死になって抵抗するが、高杉の力は思いのほか強く、手首を掴まれ、いとも簡単に畳に縫い付けられた。