第3章 5月 合宿
「失礼しました。」
ガラガラ
職員室の扉を閉めて、ふぅ~と一つため息をついた。渡邊先生が決めた明日からの合宿の資料は資料と呼べるものじゃなかった。一枚のプリントの裏紙にびっしり書き込まれた宿の場所からだいたいの練習メニュー。
メニューまで細かく書いてあるのは『俺は参加せーへんから』だそうだ。ひとまず資料をまとめるため部室に戻ることにした。
「お疲れさん。」
「みんな・・お疲れさん。明日の予定表渡しとくな。」
「なんやこれ真希ちゃんがまとめてくれたん?」
「ほんまに見やすいわね~」
「これやさすがに見にくいやろ?」
先生に渡された紙をみんなの前に出すとみんなが紙を覗き込んだ。
「「「・・・・これは」」」
「ま、相変わらずやっちゅー話や。」
みんなに予定表を配ってその日は解散になった。
明日の朝が早いのでその日の夜は、準備を済ませて早く寝ることにした。
「真希ちゃんおはようさん。」
「小春ちゃんおはよう~。」
学校前に10分前に着くとほとんどみんな来ていて、すぐ後ろから金ちゃんが走ってくるのが見えた。
「金ちゃん今日ははやいなぁ。」
「すまん!寝坊してもうたわ~って??はやいなぁて」
「金ちゃんの紙だけ集合時間30分早めて書いたん。」
「なるほどなぁ~」
みんながバスに乗り込んでいるギリギリの時間に財前くんもやってきて全員がそろい学校を出発した。
バスが出て2時間ほどで目的地である合宿所についた。
「四天宝寺中のテニス部のみなさんやね。今日から3日間ある程度マナー守ってくれたら適当に使ってええからな。」
「よろしくおねがいします。」
建物の管理人の人に挨拶をしたあとそのまま練習をすべくコートに向かった。ゴールデンウィークだというのにこの合宿所を使うのはうちらの学校だけだった。山の中にあって交通が不便だからかな・・・。
「ほなさっそくはじめよか。まず軽~く外周10週いっとこか。」
みんなが外周を走りに行ったのでドリンクとタオルを用意して20分程度で帰ってきたみんなに渡してから、施設内の設備を確認しに行くことにした。