第3章 5月 合宿
入部が決まった次の日。テニスコートに着いたは良かったが『マネージャー』がどんなものなのか全く分からなかった。何をすればいいんだろうか?
「マネージャーってなにするん??」
「せやな~ドリンクとタオルの準備、部室の掃除・・まあ、あとは必要なとき指示出すわ。」
白石君にマネージャーの仕事とドリンクやタオルの場所、それから洗濯機の場所なんかも聞いたあとまずドリンク作りを始めた。
それから日がたつとマネージャーの仕事にも慣れてきてレギュラーの練習を観察する余裕も出てきた。
それからウチがマネージャー始めて1週間目で新しい部員が入って来た。
千歳くんといって3年生から四天宝寺で熊本から来たらしい・・・なんかほんわかしてる人。部活にもあまり来なくて、金ちゃん曰く春を運んでいるらしい。
「よっしゃそろそろ上がろか。」
みんなと一緒にコートの整備をして部室に入るとテーブルの上に置いといた箱に金ちゃんがさっそく反応している。そわそわしながら振り向き箱を差し出した。
「なぁなぁこの箱なに?ええ匂いがする。」
「ふふ・・・開けてええよ。」
「クッキーやぁ!!食べてもええ??」
「ええよ。」
金ちゃんはウチが返事する前に口一杯にクッキーを頬張っていた。それに続くようにみんなが箱に手を伸ばす。
「うまっ」「ほんまやうまい。」
みんなそれぞれの感想を述べていると,普段あまりしゃべることがない財前くんが振り向いた。
「手作りッスか?」
「!うん・・せやで。」
「ふーん、いやうまいっすわ」
「おおきに・・・。」
「小村先輩が料理ができるとは意外でしたわ。」
不意のお褒めの言葉に気の聞いた一言がでなかった。あとに聞こえたいつもの余計な一言も気にならないくらい。
(懐かへんにゃんこに懐かれたみたいやわ・・・。)
みんなでクッキーを食べながらしゃべっていると部室のドアが開いて顧問の渡邊先生が入って来た。
「おう。みんないるよな・・あんな~ゴールデンウィークな合宿するで。」
「「「・・・ええ~~~!!!」」」
「ゴールデンウィークって明後日からやないですか!そない急に言われたかて・・・。」
「まあまあ、詳しいことは明日マネージャーに資料渡しとくから、ほな」
「ちょっ、監督・・・いってもうた。」
というわけで・・明後日から合宿です。