第2章 4月 出会い
「今日はよろしゅうお願いします。」
「「「「よろしゅう(お願いします)」」」」
コートのベンチに腰をおろし、みんなが部活をするのを見る。最初は筋トレとか走り込みとか基本的な事から。
20分もするとラケットを持って白石君のところに集まって真剣な顔でみんな話を聞いている。今日はウチのためにミニゲームをしてくれるらしい。
「まず、ダブルスから行こか」
ダブルス・・・2人でやるんや。小春ちゃんとユウジくんのペア。相手は・・・坊さん・・・じゃなくて石田君と忍足君。
「試合、始めんで~。」
すごいな~みんな楽しそう!真剣な表情だけど・・・。小春ちゃんたちはなんかおもろいことやっとるな~。
「小春・ユウジペアの勝ち~。」
次はシングルスのようだ。白石君と金ちゃんか~。
「ゲームセット!白石の勝ち~」
「んん~エクスタシー。」
・・・白石君が勝った。エクスタシーってなんだろう?金ちゃんがちょっと落ち込んでるみたい。
「白石ずるいで~。真希にいいとこ見せようと思っとったのに。」
「金ちゃん。あんまりしつこいと毒手やで。」
「毒手いやや!!」
毒手・・・なんか物騒な言葉が聞えてきた気がした。
「決めた!」
みんなの試合を見てウチの心は決まった。これは入部するしかない。テニスって面白そうだ!なによりみんなが楽しそう。
「どうやった??」
「マネージャーやらせてもろてええかな??みんなキラキラしとって格好良かったわ~。」
部活が終わったあと、白石君に聞かれ、入部したい旨を伝えた。近くで話を聞いていた金ちゃんが飛び上がって喜んでくれた。
「ほんまか!?やったわ~。」
「良かったなあ金ちゃん。ほな入部届け明日おさむちゃんに出し行こな。」
「おさむちゃん?」
次の日の昼休み,白石君と一緒に監督らしいおさむちゃんに入部届けを出しにいった。
「小村真希。なんや、マネージャーか!!またえろうかわええ子捕まえたな。」
「アホなこと抜かさんといてください。」
「あのよろしゅうお願いします。」
「わかった。入部を許可しちゃる。」
こうして無事に男子テニス部に入部することが出来たのだった。