第13章 3月 卒業 旅立ち
3月になった。
今日は卒業式だ。
ほんとに一年間短かった・・。
「真希と離ればなれなんてイヤや!!」
「お前らおんなじ高校やろ!!」
友達とふざけながら体育館に向かう。こんな風にみんなとふざけられるのもこれで最後。
卒業式は始まり厳かな式は静かに進んでいく。校長先生の長い話を聞くのも今日で最後だ。
(一年間やったけど学校楽しかったな・・・。)
「・・では最後に卒業おめでとう!!」
やっと終わったらしい。自然とあくびが出て隣の人に小突かれた。
卒業証書を貰ってやっと実感が湧いてきて少しだけ涙が出た。
「みんな頑張ってな。」
「真希も頑張るんやで。」
クラスのみんなとの別れを惜しんでウチはテニスコートに向かった。ウチが着いたときにはもうみんな来ていて・・・。
みんなボタンを貰われているみたいで学ランの前が開けられていた。
白石くんに至っては学ランまで取られたようだ。
「真希先輩卒業おめでとうっすわ。」
光くんの手には小さな花束。他の三年生もそれぞれの花束を持っている。それを受け取ってちょっと顔に近づけてみる。
「ありがと・・・。」
「あと、先輩・・・ネクタイくれませんか?」
「ネクタイ?おん、ええで。」
ネクタイをほどいて光くんの手に乗せる。金ちゃんが羨ましがって自分にもなんか頂戴と両手を出した。
他にあげられるもの・・ポケットに入っていたものに気付いて取り出す。
「金ちゃんにはこれあげる。デザイン変わる前の校章。」
「真希おおきにな!!・・・・。」
金ちゃんは校章をギュッと握ると下を向いてしまった。唇を噛み締めながら上げた顔には大粒の涙が溢れていた。
「っ・・・イヤや・・みんなとお別れ嫌や!!」
泣きながら飛び付いてきた金ちゃんを受け止め抱き締めた。
「金ちゃん・・・また遊びに来る。お別れせぇへん。」
「ほ・・ホ・・ンマに?」
「アホ金ちゃん。当たり前や、遊びに来るで。いつでもや。」
「金ちゃん、泣くことなかよ。」
金ちゃんは一人ずつ確認するようにホンマ?と聞いて全員の答えに満足したのかさっきまで泣いていたのが嘘のように笑顔を見せた。