第12章 2月 バレンタイン
2月14日
バレンタインデー。
朝から男子も女子もソワソワしている。
「小村さんっておる?」
他のクラスの女子だ。なんの用だろう・・・。
「これ、白石くんに渡しといてくれへん?」
「これ千歳くんに。」
「これは財前くんに。」
ウチの手には三つの可愛くラッピングされたチョコレート。
「頼んだで。」
「自分で渡した方がええのに・・。」
ウチのそんな心の呟きは近くにいた友達に拾われた。
「財前くんにとかいやがらせとしか思えへんわ。」
「そんなことないやろ。」
「やって財前くんの彼女って知っててやってんねん。完全ないやがらせやろ。」
「・・・。」
放課後、部室に着くと今日部員に渡してほしいと頼まれたチョコを一人一人に渡していく。
「光くんにも。」
「ちょっと真希ちゃん。なんで受けとるん!?光は真希ちゃんの彼氏やろ。他の子のチョコ渡したらアカン。」
「本気の子もおると思うから。」
「・・・本気の子は、人に頼まんと思うで。ほんとお人よしやな。」
「まぁええわ。部活始めよか。」
部活が終わり今度はウチと小春ちゃんが作ったチョコを配る番だった。
「真希ちゃんと一緒に作ったんやで。」
「今食べてええ?」
「金ちゃんかまへんよ。」
「わーい!!甘くてうまいわ~」
「おおきに。」
みんなに配り終わって帰り道。校門を出て時間も経たないうちに・・・
「チョコあれだけっすか?」
「もちろんあるよ。今いる?」
「今食ってもいいですか。」
「どうぞ?」
鞄から光くんのために作ったチョコレートを取り出して渡した。
言った通りすぐに袋を開け、一つまた一つと帰っている間に全て食べきってしまった。
(そういえば小春ちゃんはユウジくんにチョコあげたんやろか・・・。)
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「小春ちゃんはユウジくんにチョコあげへんの?」
「あ~あげへんよ。あの人絶対うるさくなるから・・。」
「ユウジくん、めっちゃ楽しみにしとったで?」
「・・・・・・。」
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「ユウくん・・・これ。」
「これは・・・小春からのチョコ・・・永久保存や!!!」
「そこは食べてや!!」
(せやからあげたくなかったのよ///)