第10章 12月 イベント目白押し
「ホンマはちょっと怖いけど・・ウチが言うたことやし、思いきし頼むで。」
「分かりました。ちょお待っててください。」
光くんが一階に降りて、氷を持ってきた。
「氷で冷やさんとピアス開けるとき痛いっすからね。」
「お、おん。」
"痛い"という単語を聞いてゴクリと息を飲む。光くんが氷をウチの耳につける。
「ひゃ!!冷たい・・。」
「氷なんやから冷たいのは当たり前ですわ。我慢してください、冷やさんと痛い言うてるでしょ。」
両耳に5分くらい氷を当てると耳を触られている感覚が無くなってきた。
「そろそろいきますよ。」
ピアッサーの封を開け、耳に当てられた。怖くなってギュッと目をつむる。
「すぐ済むんで、そんまま目ぇ閉じててください。」
そのあと右耳、左耳と交互にバチンと大きな音がすると光くんの手が頭に乗ってポンポンと撫でられた。目を開けると光くんと目が合う。
「終わりっすわ。」
「・・えっ、こんだけ?」
「おん、こんだけっすけど痛くないですか?」
穴を開けるときに想像していた痛みはなく今、少しだけジンジンと熱を持ち始めた程度だった。
光くんから鏡を受けとり自分で耳を確認してみる。両耳に一つずつ紫色に光る石がついていた。
「おぉ、ホンマに開いとる。」
「それ、1ヶ月は外さんと着けててください。あと適度に消毒も忘れんとってください。」
「おん、分かった。光くんおおきに。」
「あと、・・・これ誕生日プレゼントっすわ。」
差し出した袋が光くんの手からウチの手に渡って、袋を開けてみるとピアスが2つコロンと落ちてきた。しかしこのピアス・・・どこかで・・!!
パッと上を見上げると光くんの耳を見た。そこには今ウチの手にあるピアスと同じもの。
「気付くのはやいすわ・・・。自分も買ったんでオソロイっす。」
「ホンマにうれしい。なぁこのピアスに替えてもええ?」
「出来ないことないですけど、急がなくてええですよ?」
「ちゃうねん。ウチが今がええ!!」
「ははっ、そんな無茶苦茶ですわ。」
そのあとしっかりオソロイのピアスに替えてもらい、もう一度お礼を言うと光くんの家を後にした。