第10章 12月 イベント目白押し
「財前くんのアホ。」
「真希先輩。その財前くんてのそろそろ止めません?付き合うて3ヶ月たつんやし名前で呼んで欲しいっすわ。」
また表情が変わって今度は真剣な顔になった。
「・・ほんなら、光くん?」
「なんですか?」
ウチの顔を覗き込むように首をかしげる財前くん。その顔が嬉しそうにしていて、顔が熱くなっていくのを感じた。
「名前で呼んだことあらへんからなんや、めっちゃ恥ずかしいな。」
「そのうち慣れますわ。そろそろイルカのショー始まるんとちゃいますか?」
そのあとイルカのショーを見に行った。赤ちゃんイルカがお母さんイルカにぴったりとくっついて泳ぐ姿がすごくかわいかった。
レストランでお昼を食べた後、水族館を後にした。電車で街まで帰り、買い物をすることになった。
雑貨屋さんに入っていろいろ見ていると光くんがぬいぐるみのコーナーで立ち止まった。
「このぬいぐるみ真希先輩にそっくりすわ。」
犬のぬいぐるみを指さしてウチの顔の横に並べる。他のぬいぐるみを眺めると、黒猫のぬいぐるみと目が合った。
「そっちは光くんやない?」
「俺、こんなんちゃいますわ。」
そのあと自分の欲しいものをそれぞれ見て回って、ウチはあるものを買った。
「先輩そろそろ時間ないですけどプレゼント
欲しいもん決まりました?」
「それがな思い付かへんくて、変わりにお願いがあるんやけど・・・。」
さっき買ったものを取りだし光くんに見せる。
「ホンマにいいんですか?」
「おん、光くんにしか頼めんこんなこと。」
「分かりましたわ。ほんならちょっと待っといて下さい。」
それから10分ほど光くんがいなくなり、帰ってきたあと光くんの家に行くことになった。
「ここっすわ。」
光くんの家は自分の家より先にあっていつも光くんが家に来ることはあっても、ウチが光くんの家に来たのは今日が初めてだ。
「先輩ホンマにええんすか?」
光くんの部屋に通されて今は二人ベッドの上で向かい合っている。