第9章 11月 波乱の学園祭
(あ・・メイド服ウチが着とったら写真撮られへんやん。)
大変なことを思い出したがそれも泣く泣く忘れることにした。
今さらそんなことを言っても撮れないものは撮れない。
お願いしようとも思ったが昨日の反応を見てまずムリだろう。
「ただいま~。」
「ただいまっすわ。」
最後の一時間のために自分達のクラスに戻った。
「なんでやねん!!!」
「?なんで真希がメイド服着とんねん。」
「それはええねん!!財前が制服やんか!!一人だけ抜け駆けしおって。」
クラスに入ったとたん謙也くんのツッコミが飛んできた。
どうやら一人だけ先に女装をやめたのが気に入らないらしい。
「不可抗力っすわ。」
「よく言うわ。」
最後の一時間は財前くん目当てで来た子達は残念がっていたけど、無事に終わりを迎えることができた。
「はぁ~疲れたわ。」
「なぁ、売上なんぼ?」
「結構出たんちゃう。・・・ざっと5万やな。」
利益の使い道は追々考えるとして・・・片付け、掃除が終わるまでが文化祭だ。みんなで制服に着替えて後片付けを始めた。
片付けも終わり外が暗くなるころようやくほかのクラスもみんな帰ることができた。
こうしてあっという間に2日間の文化祭は終わりを告げた。
文化祭の振替休日が終わった次の日、友達が机の前に来たと思ったら携帯を置いた。
友達を見ると目線で見ろと言っている。
画面を点けて見るとそこに写っていたのは、メイド服の財前くん。
「なんなん?」
「忙しゅうて写真撮れなかったんやないかと思てな。」
「なんで分かったん!じゃあウチの為に・・?」
「なんでや、ついでやついで。もちろんただやないで~飲みもんでも奢ってもらおうか。」
こうしてウチは自分で撮ることができなかった財前くんのレアな写真を思わぬ形でゲットしたのだった。
(友達って大切やんな・・・・。)
「光ぅ、真希ちゃんの写真欲しい~?」
「小春先輩、それなら自分で撮りましたわ・・・。」
「あら!光ったら抜かりないわぁ。高値で売り付けよ思っとったのに~。」
小春ちゃんのはなしによると財前くんはちゃっかりしっかり写真をゲットしていたらしい。
なんでや。いつのまに。