第9章 11月 波乱の学園祭
確かに面倒ではあるがなんせメイドとチャイナ。目立つにもほどがある、周りの目線が痛い。
「宣伝ですわ。あっ先輩お化け屋敷。」
「入らへんよ。」
「じゃあ独りで行ってきますわ。」
財前くんがお化け屋敷に向かってスタスタと歩いていく、ここに一人で待たされるのも嫌なので仕方なく財前くんの後を追った。
「あれっ?入らんとちゃうんですか。」
「分かっとって言うたやろ・・・。」
財前くんの後ろに隠れながら前に少しずつ進んでいく。
「結構本格的やな・・。」
「もぅ・・なんでもええから進んで。」
小道具の作りとか壁を立ち止まってじっくり見ている。背中を押して前に進む。
ガタッ!!!!
「きゃー!!!!」
見ている壁の反対側から何かが出てきて驚いて叫んだ。
パッと反対側を見たけどすでになにもなかった。
なかなか進まずやっと外に出たときには元気の残りゲージはもう雀の涙ほどだった。
「そないに怖かったすか?・・・!!!」
「怖いっちゅーもん!!?」
財前くんが急にウチの腕を引いて自分が覆う形で壁に押された。いわゆる壁ドンというやつ。
「ななな・・なに?」
「スカートが・・。」
自分の腰を見てみるとチャイナ服の膝まで入っていたスリットが腰の辺りまで破れていた。
「わっどないしよ。」
「とりあえず部室行きましょう。」
財前くんの案で破れたスリット側に財前くんが来て腕を組むことで隠しながら部室までなんとか来た。
「着替えました?」
「着替えたけど、なんでなん・・・。」
着替えて部室から出てきたウチが来ていたのは財前くんが来ていたはずのメイド服。
代わりだと財前くんが渡してきた。その本人はちゃっかり自分の制服に着替えている。
「もうちょい回れそうっすわ。真希先輩行きましょう。」
チャイナ服の時は校内を歩くのは平気だったが今は恥ずかしくて仕方がない。
それもこれも目の前を珍しく機嫌がよさそうに歩いている財前くんのせい。
「なんでウチがメイドさんにならんとアカンの~?」
「先輩メイド服着たい言うとりましたやんか。」
「それにしてもなんで今やねん・・・。」
「俺が今着て欲しいと思ったからですわ。」
勝手な意見だ。という言葉は飲み込むしかなかった。確かにウチが着てもいいと言ったのだから・・・。