第9章 11月 波乱の学園祭
衣装を借りて学校に帰る途中。部室でふと思ったことを聞いてみた。
「財前くんが女の子にして欲しいかっこってメイドさんなんやな。」
「女の子というか、゛真希先輩に゛っすわ。」
「・・・。」
「あれ、もしかして引いてます?それとも着ようか迷ってます?」
「引きはせぇへんけど・・着るのは。でも着て欲しい?」
ウチなに言ってんだろ。でも着るくらいなら構わないと思っている。だってメイドさんの衣装が思ってたものより可愛いデザインだったから。
「着て欲しいって言うたら着てくれるんすか?」
「・・・おん。」
「・・楽しみにしときますわ。」
財前くんは少し驚いたような顔をしたあとまたウチの好きな優しい笑い方で笑った。
部室に着き、残りの時間は部活に参加した。
だれかの提案で部活を早めに切り上げ衣装合わせをすることになった。
「とりあえずサイズは大丈夫そうやな。」
「・・・白石くん、バッチリやんな。」
ナースキャップやガーターベルトまでしっかり着け、ポーズを決める白石くん。
「当たり前や、やるからには俺はやるで。小村!本番のとき化粧頼んでもええか?」
「えぇ!?お化粧まですんの?」
「部長キモいっすわ。」
「なに言うてんねん。お前らもするんやって。財前!!ちゃんと頭も着けな。」
化粧までしようとする徹底ぶりにみんなあきれながら鏡で自分をチェックする白石くんを見た。
財前くんもため息をついて衣装のカチューシャを頭に着けた。
「そういえば、小村はなに着るん?」
白石くんの突然の疑問にみんながウチを見て、そう言えばと言った。
それからみんな着替えるのも忘れてウチの衣装についての話し合いを始めた。
「貸衣裳屋さんにもういっぺん借りに行くしかないんちゃう?」
「でも、小村が着たらただのコスプレちゃう?」
「真希ならコスプレでもよかばいね。」
「逆に男装するとか?」
「結局、貸衣裳屋さんに行かなアカンか。」
ちなみに貸衣裳屋さんは隣町にあるのでそこまで片道1時間以上かかる。