第9章 11月 波乱の学園祭
近くの貸衣裳屋さんは他の部活やクラスに借りられていてほとんど残っていなかった。
「ウチが忘れとったんが悪いし、取り行ってくるで?」
「ちょいまち、明日クラスの奴になんかないか聞いてみるわ。」
その日はもう遅かったのでとりあえず解散することになった。
家に帰ってからもそれぞれの知り合いに聞いてみたが、なかなかそんな衣装は家にはないらしい。
次の日、ウチらのクラスの子たちにも余った衣装がないか聞いてみたが余ってるところはどこにもなかった。
諦めて貸衣裳屋さんに行こうと思っていると、携帯に着信が入った。メールの差出人は千歳くん。
「クラスにチャイナ服が余っとうよ。」
「どないしたん?」
目の前に座っていた小春ちゃんが携帯をじっと見ているウチに気づいた。
「千歳くんとこに、チャイナ服が余っとるって。ちょっと受け取って来る。」
「ホンマに?良かったやん。あら・・・真希ちゃん後ろ見て。」
小春ちゃんがウチの後ろを指差して笑った。振り向くと千歳くんが後ろに立っていて、チャイナ服を持って来てくれていた。
「来んでよかよ、持ってきたばい。」
「千歳くん!!ホンマにありがとう。クラスの人にもお礼言うといて。」
「真希、後ろば向いて。ん、サイズも丁度よかね~、お礼も伝えとくたい。」
千歳くんがウチの背中にチャイナ服を当ててサイズを見てくれた。
こうして無事にウチの衣装も決まったのだった。
2週間の文化祭準備期間はあっという間に終わり、明日と明後日2日間に渡って文化祭は行われる。
1日目は学校内の生徒だけが校内の出し物を見て回れる。
2日目は学校外の一般の人も入ることができクラスまたは部活の売り上げを上げることができる。