第9章 11月 波乱の学園祭
月曜日。また今日から一週間が始まる。10月もそろそろ終盤に入った。
「謙也ぁぁ~!!どういうことやこれは!!」
ある日の放課後、部室に来ると中から白石くんの怒鳴り声が聞こえた。
白石くんが大きな声を出して怒るなんて珍しい。
「説明せぇ!!」
「ホンマありえないっすわ。」
開けて中に入るとどうやら怒っているのは白石くんだけじゃないもよう。椅子に座って怯える謙也くんを囲んでいる。
「どしたん?」
遠くでみている銀さんに聞いてみる。
「文化祭のテニス部の出し物が決まったらしい。せやけど・・・・」
「せやけど?」
「「「なんでテニス部は女装喫茶なんやぁ(ですか)!!!」」」
「・・女装喫茶?」
すごい剣幕で謙也くんに詰め寄る。怯えて可哀想だったので止めることにした。
「ま、まあ決まったもんはしゃーないんやない?」
「小村。こいつの理由聞いてみ!」
「うっ、出し物会議でうっかり寝てしもたらいつの間にか決まってたっちゅー・・・・話や。」
「それは・・・もう自業自得やんな。」
「先輩そういうことですわ。覚悟しといてください。」
3人が黒く笑って、謙也くんの悲鳴が部室に響き渡った。
謙也くんが動かなくなったところで白石くんが一つため息をついた。
「でもまあ、決まったもんはしゃーない。やるからには俺はやったるで!!」
そのとき遅れていた金ちゃんと千歳くんと小春ちゃんが部室にやって来た。
「白石~!!なんの話しとるん?」
「金ちゃん!文化祭の話や。女装喫茶っちゅーのをやるんやで?」
「じょそーきっさ?なんやそれ食いもんか?」
女装喫茶を知らない金ちゃんは『じょそーきっさ』という食べ物があると思っているらしい。
「金ちゃん。女装喫茶は女の子のかっこして喫茶店をやるっちゅーことやで。」
「わい、スカート履くんか?」
「まっそうなるわな。」
「イヤや!!」
「文句があるなら謙也に言い。」
「謙也ぁぁ!!」
また謙也くんの悲鳴が聞こえてそのあと何も聞こえなくなった。
「女装喫茶?どんな格好ばすると?」
「女装ゆうてもいろんなのがあるしな・・・。」
みんな諦めたのか前向きに自分が着るものを考え始めた。
「で、考えた結果何を着るか決まったん?」