第8章 10月 初デート
土曜日の練習が終わり明日は久しぶりに丸一日部活が休みになった。
「なぁ小春ぅ~。映画見に行こーやぁ。」
「ごめんな~ユウくん。明日は予定が入っとんねん。」
(映画か・・・ええな。)
「真希先輩。明日映画観に行きませんか?」
「!!!!?」
「おん、なんか観たいのあるん?」
「いや、特にないっすわ。」
「ホンマ?ウチ観たいのあんねんけど・・」
(・・なんやあいつら?一緒に映画行くん!?)
(光のやつ!!俺が小春に断られとんのに・・・・・)
いつの間にかウチらに視線が集中していて、謙也くんが恐る恐る口を開いた。
「あの、つかぬことを聞きますけどお二人は・・」
「俺ら付き合っとりますけど?」
財前くんが当然のように言ったあと言ってませんでしたっけ?と首を傾げた。
「「「「聞いとらんわ!!!」」」」
「なんや、やっぱりくっついたんやな~。よかったわ~。」
みんなが盛大にツッコミを入れるなか、小春ちゃんだけは予想していたかのように平然としていた。
小春ちゃんにはちゃんと言おうと思っていたけど、体育祭の当日友達に尋問のように問い詰められて、話す暇がなかったのだ。
「なんや言うてくれたら良かったやん。」
「どうやってです、俺たち付き合い始めました☆て感じすか。」
財前くんがウチの肩を引き寄せてみんなの前で言う。
「今めっちゃゾクッとした。」
「イラッとやなくて?」
「おん、財前にゾクッとした。」
謙也くんが自分の肩を抱いてブルッと震える真似をした。
「いいわね~明日デートやなんて。」
「小春!!!俺とデートしようや。」
「だから、明日は予定がある言うとるやろ!」
ユウジくんはまだ諦めないらしい。諦めない心って大切だよね!
「ほな、俺ら先帰りますわ。真希先輩行きましょう。」
「お、おん。みんなまた明後日な。」
((財前今度どつく。))
「先輩また明日。」
「おん、また明日な。」
また家の前まで送ってもらいそこで別れた。
みんなには明後日なのに財前くんだけ明日ってなんか変な感じ・・・。